「国民1人10万円給付」を閣議決定した補正予算案。今更聞けない「閣議決定」って何?

4月20日午後、全国民への現金10万円の一律給付を新たに盛り込んだ新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急経済対策と、これに伴う令和2年度度補正予算案が持ち回り閣議で決定しましたね。

減収世帯への30万円給付の4月7日の閣議決定では、給付の関連費用として4兆円程度と目論んでいたところ、10万円の一律給付となったことから、その費用が約8兆円も増額となりました。4月20日の閣議決定では、10万円の一律給付分の関連費用として12兆8803億円を盛り込んでいます。結果として、一般会計ベースの今回の補正予算案の歳出規模は、25兆6914億円で、財源を確保するため、赤字国債を23兆3624億円、建設国債を2兆3290億円発行することになります。

メディアによると、閣議決定の段階で、あたかも補正予算案は決定したかのようですが、国会で可決しないと決定はしません。では、閣議決定って何でしょうか?

閣議決定とは

「この内容で国会に提出する」という内閣の意思決定が、「閣議(内閣の会議)」で行われます。これが閣議決定です。閣議決定された補正予算案は、この後、国会の本会議で審議され、可決されれば補正予算の内容が確定します。ちなみに閣議決定では、閣僚(内閣のメンバーである国務大臣のこと)全員が参加して閣議における議決は、全員一致しないと認められません。
これは、内閣法の「内閣は、行政権の行使について、全国民を代表する議員からなる国会に対し連帯して責任を負う」という条文が根拠となっています。ちなみに、閣議ないし閣議決定に国会での可決のような法的効力はありません。

閣議決定の種類

閣議(内閣の会議)には定例閣議、臨時閣議、持ち回り閣議の3種類があります。

定例閣議

決まって毎週2回行われる閣議のこと。開催日時は火曜日と金曜日の午前中と決まっています。「閣議」と聞くと、この定例閣議を思い浮かべる人が多いです。

臨時閣議

緊急の案件が応じた際に開かれる臨時の閣議です。早急性に応じて招集されます。減収世帯30万円給付のときの補正予算案は、4月7日火曜日の閣議で国会への提出を決定されいますので、定例会議かと思ったら、その後に開かれた臨時会議だったみたいですね。

持ち回り閣議

極めて早急な対応が必要な場合の閣議のスタイルです。持ち回り閣議は、閣僚を集めることなく、書類のみを各大臣に回して合意を得る方式です。具体的には内閣総務官が閣議書を持って大臣の元へ署名を集めて、その後に意思決定がなされたとする方式を取ります。全国民への現金10万円の一律給付は、4月20日月曜日の午後に持ち回りにより、4月7日に閣議決定された補正予算案を修正した新たな補正予算案として国会への提出を決定しています。

閣議案件

閣議で決定される内容にはどのようなものがあるのでしょうか。

①一般案件
一般案件とは、国政に関する基本的かつ最重要な項目で、内閣として意思決定を行うべき案件をいいます。
例えば選挙後の国会で行う「内閣総理大臣施政方針演説」や「予算案」、今回のような「補正予算案」などもそうです。「国の債権の現在額総報告」などの報告も含まれます。

②法律・条約の公布
国会で既に成立もしくは締結された法律・条約を公布(実際に国民の生活に適用していくこと)するために内閣の助言と承認を行うことです。憲法第7条に基づいて実施されます。

③法律案
内閣提出法律案を立案し、国会に提出します。

④政令
政令とは、内閣の制定する命令のこと(法律の内容を捕捉するものなど)で、それを閣議にて決定し、公布のために助言と承認を行います。

⑤配布
配布は閣議席に資料を配布する資料のことをいいます。中央省庁の刊行物である白書や月例経済報告などがあります。

閣議決定後の流れ

もし、法律案であれば①閣議決定→(閣僚懇談会)→署名された閣議書の皇居への提出・天皇陛下による決済→記者会見→国会審議→(委員会附託)→衆議院・参議院の可決により法案(予算案)成立→公布→施行となります。

今回の補正予算案は、連休前に本会議が招集され、審議されて可決されれば確定されると思います。

閣僚って何?

閣僚は、国務大臣で、日本の内閣の構成員で特別職国家公務員です。内閣総理大臣を除く国務大臣は、内閣総理大臣が任命し、天皇が認証します。財務省や経済産業省などの行政府(省庁)の長が国務大臣です。国務大臣は、政治家であり、行政府の長でもあるのです。日本は、議院内閣制なので、国民の代表からなる国会議員で構成される「国会」の意思で政府が成立し、政府が行政権の行使について、議会に対して責任を負います。政府は狭い意味では内閣とそれに付随する省庁と捉えると分かりやすいかもしれません。閣僚の責任といっても、法的な責任というのではなく、政治的責任であり、国会の決定や意思に対して誠実に職責を果たす基本姿勢や理念を意味しています。国会は質疑、決議、国勢調査、重要議案の否決等の方法で、内閣の責任を追究することができます。

国会提出前でまだよかった

今回は「国会審議中、内閣提出の予算案が組み替えられた」のではなく、国会への提出前に閣議で一度決めた補正予算案を引っ込めた状態です。これ自体、過去に当初予算で三度しかない「異例」なことだそうです。しかし、4月7日の閣議決定された減収世帯30万円のまま国会へ提出していたら、与党内から組み替えろという声が起き、野党も追随して国会審議で覆されるという前代未聞の大騒動に発展したかもしれません。こんなことになっては、「超異例」。閣議決定した案を与党内の異議で組み替えた今回は、それよりは余程よかったと思います。

全国民への現金10万円の一律給付の狙いは、様々な事情を抱え経済的に打撃を受けているであろう全国民へ配布するという目的以外にも、減収世帯の基準を定め、審査をして対象を決定していくという手続きを省略し、一刻も早く国民に届けたいという思いもあるようです。

閣議で決定した限りは、補正予算案を国会に上程し、本会議での可決を経て、一刻も早く市町村役場の職員が配布の手続きに着手できるようになるとよいと思います。新型コロナウイルスの蔓延リスクにより、市町村役場の職員もテレワークなどで通勤を自粛し、職場が閑散としている昨今ですから、そのことも念頭に入れてスケジュールを組む必要がありますね。

お互い思いやりを持って、国民が一致団結して新型コロナウイルスと戦いましょう。

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です