今更聞けない日本学術会議って何?問題点を整理

日本学術会議については、2020年(令和2年)10月1日、日本学術会議が推薦した新会員候補105人の内、6人が任命権者である菅義偉首相によって理由が明かされないまま任命を拒否されたことから、日本学術会議の独立性や学問の自由が損なわれるとの批判が巻き起こることになりました。現行の任命制度になった2004年以降、日本学術会議が推薦した候補を政府が任命しなかったのは初めてのことです。

その後、2016年の補充人事でも官邸が難色を示して補充を断念したこと、2017年の会員推薦時には事前説明を実施していたこと、6名に難色を示したのは杉田和博官房副長官であったことも明らかになりました。

これを機に、野党、学者、市民、世界的学術雑誌などからも「学問を守れ、自由を守れ」などの抗議がされる事態になっています。

菅首相は民間出身者や若手が少ないこと、出身や所属大学に偏りがあり多様性を考慮したと弁解しておりますが、まだまだ議論が収まりそうにありません。

議論の争点

議論の争点は、日本学術会議が推薦した新会員候補を内閣が任命を拒否できるのかどうかという点です。

学術会議は元々は学会推薦で、内閣としては会員の任命には拒否権がないという考え方でした(1983年中曽根首相答弁)。しかし、現在は個々の会員が推薦し、会員自らが自分の後任を指名することが可能となってきており、国家予算により成り立っている学術会議のあり方も議論されるようになってきています。

政府としては、学術会議は政府機関であり、会員は公務員であることや、学術会議が総合的、俯瞰的な活動が求められる点からも、任命について法に基づき判断する必要があるという考えを持っており、今回は6人について任命を拒否したという釈明をしております。

日本学術会議の概要

日本学術会議は、昭和24年(1949年)1月、内閣総理大臣の所轄ののもとに、政府から独立して職務を行う「特別の機関」として設立されました。その経費は、国の予算で負担されます。

日本学術会議法第2条に目的が記され、科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させることあります。

人文・社会科学、生命科学、理学・工学の全分野の約87万人の科学者を内外に代表する機関であり、国単位で加盟する国際学術機関の組織構成員(NMO – National Member Organization)でもあります。

会員数

210人の会員と約2000人の連携会員

役割

① 政府に対する政策提言

② 国際的な活動

③ 科学者間ネットワークの構築

④ 科学の役割についての世論啓発

組織

総会、役員(会長と3人の副会長)、幹事会、3つの部、4つの機能別委員会(常置)、30の学術分野別の委員会(常置)、課題別委員会(臨時)、地区会議、若手アカデミー及び事務局が置かれています。

政府から支出する予算規模(2020年)

運営費として総額約10億5000万円

国際関係活動費として総額約2億円

任命の拒否をされた6人

安全保障関連法や特定秘密保護法などで政府の方針に異論を唱えてきたとされる以下の6人の学者です。

芦名定道氏

(あしな さだみち 1956年7月24日 – )

日本のキリスト教学者、京都大学大学院文学研究科教授。

宇野重規氏

うの しげき 1967年6月13日 – )

日本の政治学者。専門は政治思想史・政治哲学。東京大学社会科学研究所教授。博士(法学)(東京大学大学院法学政治学研究科)。宇野重昭(中国政治・東アジア地域研究)は父。

岡田正則氏

(おかだ まさのり、1957年 – )

日本の法学者、早稲田大学大学院法務研究科教授。専攻は行政法。

小澤隆一氏

おざわ りゅういち、1959年 – )

日本の憲法学者。東京慈恵会医科大学教授。 日本財政法学会理事、元民主主義科学者協会法律部会副理事長。護憲派として各地で講演活動を行う。2015年、衆院平和安全法制特別委員会において、「憲法9条のもとでは個別的、集団的問わず、自衛権の行使のためであっても、戦争や武力の行使はできない」などと主張。共産党機関誌前衛に登場。特定秘密の保護に関する法律に反対する声明 呼びかけ人。

加藤陽子氏

(かとう ようこ、1960年10月 – )

日本の歴史学者。東京大学教授。専攻は日本近現代史。博士(文学)。別名野島 陽子。埼玉県大宮市出身。2010年に著書『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』で小林秀雄賞受賞。

松宮孝明氏

(まつみや たかあき、1958年3月11日 – )

日本の法学者。立命館大学法務研究科教授。専門は刑法。博士(法学)。日本刑法学会理事。元民主主義科学者協会法律部会理事。滋賀県出身。

まとめ

学問の自由は大変素晴らしい保障されるべき理念ではあります。しかし、世界の先進国のアカデミーの運営費が多額の寄付などで賄われている一方、日本学術会議は全額国庫負担であり、社会的・文化的背景を鑑みれば仕方のない部分が多いという見解もあるようです。組織のスリム化などの組織改革と、存在意義、運営方法などからそのあり方を見直し、適正なところに落ち着くことをいのるばかりです。

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